10月12日(土)動物と人の関係を考える

 埋蔵文化財調査センター特別展「動物の考古学」を記念して、糸島ジビエ研究所の西村直人さんによる講演『古代の動物と食』が、12日行なわれました。


 日本全国でイノシシやシカによる農作物被害や、まちに出現するなどのトラブルが深刻化している中、獣肉の一次処理・精肉および加工・販売を担い、自らを捌師(はちし:「捌」は肉などを「さばく」の意)と西村さんは名乗ります。


 イノシシやシカの正確な個体数把握や適切な個体数の算出が難しいのにひたすら駆除を進める風潮が強く、“害獣対策”の一貫としてブームになっているジビエが、『捨てるものを活用する』という考え方に疑問を感じているとのこと。

 まちで暮らしていると『自然vs人間』という考え方になってしまいがちで、本来は人間も動物もひとつの大きな環境の中に生きていると考えないといけないといいます。

 魚などのほかの天然資源同様、おいしい食料・良い素材だから漁獲・捕獲を行い、取りすぎにならないよう資源管理の考え方をしっかり実践していれば、野生動物は適正な数に保たれて被害もなくなり、“害獣”という言葉もなくなるという考えです。

 


 古代から動物と人は「食」という点で重要な関係を保ってきましたが、いつのまにか、食の連鎖から人間だけが離れてしまっている…特別展が示すものの意味が西村さんの話しでより感じられた気がしました。


 『動物の考古学』特別展は、12月1日まで、小郡市埋蔵文化財調査センター展示室で開催しています。

 

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