4月10日(金)いま問われる「促膝」の姿勢

 小郡市在住、福岡女学院大学人文学部の東茂美教授が、このたび海鳥社から『元号「令和」と万葉集』を出版されました。


 東教授は、万葉集の代表歌人「大伴坂上郎女」をはじめ「山上憶良」の研究、また、『東アジア万葉新風景』(西日本新聞の連載)などもで知られ、新元号「令和」が決まってからは、ご講演やマスコミ取材などが殺到し、元号の背景などを伝えてこられました。


 このたびの著書では、「令和」の出典とされる「梅花の歌」序、また、当時の時代背景や東アジアの関わりなどを丁寧に解説されています。


 東教授は、「梅花の宴」を、家柄や身分の違い、抱える背景の違いを超え、ともにそのひとときを大切に、そのよしみを忘れないようにしようとする“座の調和性”に注目され、序に出てくる「促膝」(膝をつきあわせる)という言葉から説明されています。


 そして、元号には、おとずれる新たな時代はこうあってほしい、といった祈りが込められており、「令和」の2文字は、「だれにとっても、調和のとれた、おだやかで平和な時代であってほしいという祈りが込められており、その祈りにふさわしい文字だと思われます」と東教授は書かれています。


 間違いなく「令和」の時代の忘れられない出来事となるこのたびの感染症、人と人が接することを自粛しなければならないという対策が求められるとき、あらためて、「促膝」の関係が人の営みの中でこれほど大切であったのかということに気づかされます。

 

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 ※東茂美著「元号『令和』と万葉集」 2020年4月20日 発行海鳥社