晴れやかなる新春を迎えた本日ここに、公私とも大変お忙しいご来賓の臨席を賜る中、小郡市成人式を挙行することができました。市民を代表して、新成人のみなさんに、お祝いの言葉を申し上げます。晴れの成人おめでとうございます。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、昨年東京オリンピック、パラリンピックが開催されました。笑顔のブラインドランナー、福岡の道下美里選手が、フルマラソンで悲願の金メダルを獲得しました。小さい体での完璧のレースのみならず、表彰式で金メダルを伴走者にかけようとしたことに感動が広がりました。
ガイドランナー、伴走者の手と道下選手の手をつなぐ「ガイドロープ」、道下選手たちは「絆」と呼び、走るだけでなく、心もつなぎ、「みっちゃんに金メダルを」という思いは、その「絆」を通して伝わります。視覚障害がいの道下選手は練習さえも1人でできませんが、仲間に励まされながら、たくさんの伴走者が絆を持ち、背中を押されながら、道下選手は、金メダルにたどりつきました。
小郡市にも伴走者がいて、道下選手は定期的に小郡市でも練習をされています。
そして、道下選手をゲストにした小さいマラソン大会が宝満川の河川敷で行われています。
その大会の中で、目隠しをしながら伴走者と一緒に走るという体験が行われています。
私も体験しましたが、全く見えない中で、まず足を前に出すことが容易でなく、立ち止まる私を伴走者がガイドしてくれて、でこぼこの道も、なんとか走ることができました。
道下選手のブラインドマラソンを、私たちの人生というマラソンに置き換えると、全く先行きが分からない将来に向かって走ることに重ねることができます。
これまでの価値観や成功例が通用しない社会、コロナでさらに大きく変わってしまった社会、こんな中で、前に進むこと不安でいっぱいで、怖くて立ち止まりたくなってしまうものです。
しかし、新型コロナ禍の自粛生活で、私たちは、人のつながりの大切さ、これまで見えなかったガイドロープ「絆」が見えるようになってきたのではないかと思います。
実は、周りにはたくさんの人生のガイドランナーがいつでも「絆」のロープを差し出してくれてきたことに気が付くと思います。
成人20歳という節目に、あらためてこれまで皆さんの人生を伴走してくれた、家族、仲間、先生、近所のおじさんおばさん、たくさんの顔の思い浮かべてください。
皆さんがこころ開いていれば、必ずだれかがそばにいる、一緒に走ってくる人がいます。
ときには、あなた自身がガイドランナーになることもできます。
人生100年という長いこれからの人生のマラソンが、道下選手のような笑顔で走り抜け、それぞれの金メダルを掴まれますように、心からお祈りし、お祝の言葉といたします。
本当におめでとうございました。