6月30日(土)城が語る時代の緊張―「幕末の城」九歴企画展

 特別展の始まりは、江戸幕府から出された「一国一城令」。幕府により大名の軍事力が制限される江戸時代では、居城の石垣を修築するときも、幕府に資料を提示し、許可を求めることが必要でした。
 九州歴史資料館第46回企画展「幕末の城-近世の沿岸警備と幕末期城郭-」が、30日から始まりました。
 江戸時代は「天下泰平」とは限らない!?と案内に記されているとおり、築城規制はありながら、鎖国期のフェートン号事件をきっかけに強化された「長崎の警備」など、異国船に対する沿岸警備が行われ、各地に見張り役の「遠見番所」、伝達を行う「烽火(のろし)台」が築かれました。
 さらに幕末になると、沿岸警備の砲台となる「台場」や、築城を隠すための名目で作られた「御殿」や「別館」で、軍事力の増強を図っていきます。
 そして、江戸から明治となり、財政難に陥っていた明治政府は、陸軍として残す城「存城」と、大蔵省に引き渡して財産処分する城「廃城」に区別する政令を発して、廃城となった城の多くは、学校や公園など公共施設が建てられました。
 大変ユニークな視点での、「城」の役割の変遷を示した資料の数々が、時代の緊張感を雄弁に語っています。
 企画展は8月12日までです。どうぞお出かけください!!