7月26日(金)体験談や主観に頼らない教育を

 

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 令和元年度の小郡市・三井郡地教委連絡協議会と小郡市・三井郡教育研究所の合同研修会が、26日文化会館大ホールで開催されました。
 講師は慶応大学総合政策部の中室牧子教授でした。


 中室教授は冒頭、日本の教育政策を決定する会議で、個人的な体験談や一般的に再現性の低い特殊な成功体験が持ち出されることが多いことに、科学的根拠に基づいて議論されることが重要であると指摘されました。
 海外では教育政策の効果をさまざまなデータで科学的に検証して、その結果を反映させるエビデンス・ベースト・ポリシーの手法が浸透している国が増えているといいます。


 中室教授は、教育経済学の必要性を訴え、「『学力』の経済学」を出版し、30万部のベストセラーとなっています。
 子どもに必要な能力として、IQや学力テストで計測される「認知能力」よりも、「非認知能力」を取り上げました。「非認知能力」は文部科学省で「生きる力」と呼んでいますが、中室教授は、「自制心」「やり抜く力」のようなものと表現されています。


 たとえば、子どものころに夏休みの宿題を終わりの方にやった人ほど、喫煙、ギャンブル、飲酒の習慣があり、借金があり、太っている確率が高いという驚く研究を紹介されました。

 経済学的な手法により、自制心の及ぼす将来の姿を客観的なデータで示せることがわかります。


 教育を経験や直観と同様に、もっとデータから得られる客観的な事実を取り入れ、限られた予算を何に投じるべきかを議論していかなければならないと思いました。