野田宇太郎先生をしのぶ

 小郡出身の詩人、野田宇太郎をしのぶ第29回生誕祭が28日、松崎の詩碑前で行われました。
 平成元年の生誕80年から開催されており、全国から応募があった詩の中から、各部門の一席の献詩が行われました。
 小学生の部一席、三国小6年生の杉島柚香さんの「夏の川」を紹介します。


  夏の昼 祖母の家の近くの川で遊んだ
  背中に ぎらぎらと
  熱い太陽が いたくつき当たる
  周りの木では セミがさわぐ
  川上からの速い流れの水に
  ゆっくりと 足の指先を こわごわ
  少しつけた
  川の水は 思った以上に冷たく
  思わず 足がひっこんだ
  もう一度と 気持ちの準備を完了し
  今度は 思いっきり ひざ下まで
  水に足が入った
  ひんやりとした 冷たさの中に
  夏の時間が過ぎた

 照りつける太陽の暑さと肌をとおして感じる川の冷たさ、何気ない夏の風景がリアルに映像として浮かんできますね。
 詩を愛することは、自然風土を素直に感じるこころにつながると思います。
 詩人である野田先生が、ライフワークにした文学散歩は戦後、無残に壊されていく歴史遺産や自然風土に憤慨したエネルギーで生まれたものですが、こうした自然への感性を大事に育て、継げていくことが大事だと思いました。